「死ぬ気で」続編

こんにちは、本田です。

はじめに、今回はいつも以上に熱が入ってしまい、想定以上の長文になってしまいました…。お手隙の際にでも読んで頂けますと幸いです。

前の片倉の記事に続き、動物ネタ、しかも鳥類ネタですが悪しからず。

前回に引き続き、「死ぬ気」ということについて考えるために、コウテイペンギンの子育てがどのようなものなのか、できるだけ簡単に紹介しようと思います。

彼らは3月〜4月頃(南極の3月はこれから冬になるタイミング)になると、繁殖のために、海から50〜100キロほど離れた内陸へ移動します。海の近くにはシャチやヒョウアザラシなどの天敵が多く、内陸の方が安全だからです。よちよち歩きのペンギンたちにとって、その移動は約二ヶ月にも渡ります。海から内陸へ移動を終えると、コウテイペンギンたちは求愛をし、お互いに一夫一妻のパートナーを見つけます。そして5月〜6月にかけて、愛の結晶として大きな卵を1つだけ授かります。過酷な子育ての幕開けです。

ちなみに、コウテイペンギンはオスが子育てをします。抱卵嚢(ほうらんのう)という卵を孵すための特殊な皮がオスにしかないためです。

ペンギンたちの食べ物は、海の中の魚です。子育ての舞台である内陸に、彼らの食べ物はありません。加えて、約二ヶ月にもわたる大移動の間、ペンギンたちは新たなエサを口にしていません。そのためメスは体力を回復させるべく、エサを求めて海へ戻ります。もちろん、エサを口にしていないのはオスも同様です。それでもオスはメスが帰ってくるまでの間、卵を温め続けます。

季節は南極の冬。極夜を迎え、太陽の当たる時間がほとんどない闇夜に覆われた南極の気温はマイナス60度。加えてブリザードが容赦なく吹き付けます。海を離れてからの二ヶ月とメスが帰ってくるまでの二ヶ月の間、つまりおよそ四ヶ月もの絶食の中、そのような過酷な環境下で、オスたちは身を寄せ合い(この行為はハドルと呼ばれるそうです)、卵を温め続けます。当然、途中で息絶えてしまうオスも珍しくありません。ハドルの様子

やがて季節は八月になり、長い旅を経たメスたちが、ヒナに与える魚をその胃の中にたっぷりと蓄えて、海から戻ってきます。そしてちょうどこのタイミングで卵も孵ります。メスが戻ると、オスとメスは互いに鳴き合い、パートナーを探します。彼らは、一万羽もの群れの中で、声だけでパートナーを探し当てるそうです。とても深い絆を感じてしまいます。しかし、必ずしもパートナーに会えるとは限りません…。

鳴き声が返ってこない…。なぜだろう…。あるオスがあたりを見回してみると、多くのメスが帰ってくる中で、自分のパートナーらしき影はありません。このオスのパートナーは旅の途中で行き倒れてしまったのでしょうか。またあるメスは、群れの中でひっそりと冷たく横たわっているパートナーと我が子を見つけるかもしれません。生きてオスとメスが出会えることは幸運なことなのです。

感動的な再会を果たした幸運な夫妻のオスは、ヒナをメスに預け、今度はオスがエサを獲りに海へと向かいます。そして、南極の夏である十二月まで、このラリーが繰り返されます。最初に無事再会できたとしても、その次も再会できる保証はどこにもありません。しかし、それでも彼らは歩き続けるのです。

常に死と隣り合わせの限界の中、過酷な環境下で、黙々と歩き続ける者とそれを待ち続ける者。

畏れ多いですが、その姿を想うと「死」を明確にイメージすると同時に「生」ということの実態が彷彿とされる気がしています。

ここまで話しておいて、結局「死ぬ気で」とは何なのか、結論らしい結論はありません。ただ漠然としたイメージのみがあるだけです。日々のトレーニング毎に、そうしたイメージを持てるよう励んでいきたいと思う今日この頃でした。

本田

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